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空き家問題とは?近所の空き家で起きるリスクと対策

空き家問題とは、使われていない住宅の管理が行き届かず、倒壊、外壁落下、草木の越境、害虫、火災、防犯、景観などの問題が所有者だけでなく地域へ広がることです。

解体データバンクの調査では、近所に管理されていないと感じる空き家が『ある』55.1%、『たぶんある』24.3%で、合計79.5%でした。

この記事では、近所の空き家で起こり得るリスク、住民が感じている不安、相談先、所有者が取れる管理・活用・売却・解体の対策を解説します。

目次

空き家問題で起こる主なリスク

管理されていない空き家の問題は、建物の破損だけでなく、衛生、防犯、周辺環境、所有者の費用負担へ広がります。どの状態が起きているかによって、必要な相談先と緊急度が異なります。

リスク具体例
建物倒壊、屋根材・外壁材の落下、窓や扉の破損
衛生害虫・ねずみ・動物の侵入、悪臭、ごみ
防犯不法侵入、放火への不安、施錠不良
周辺環境草木の越境、落ち葉、通行の妨げ、景観悪化
所有者負担税、保険、修繕、草刈り、遠方からの交通費
資産劣化による価値低下、売却・活用の選択肢減少

屋根・外壁の落下や倒壊は、人や道路へ直接被害を及ぼす

瓦、外壁材、雨どい、窓などが外れかけている場合、強風や地震で隣地・道路へ落下するおそれがあります。近隣住民は敷地へ入らず、危険箇所から離れて自治体へ状態を伝えます。所有者は建築・解体の専門業者へ点検を依頼します。

草木・害虫・ごみの放置は、日常的な近隣負担になる

庭木の越境、落ち葉、害虫、動物の侵入、悪臭は、倒壊前の段階でも周囲へ影響します。定期的な草刈り、清掃、換気、害虫対策を行い、遠方の場合は管理会社や地域のサービスを利用します。

施錠不良や人目の少なさが防犯・火災への不安につながる

割れた窓や開いた扉があると、不法侵入や放火を心配する近隣住民が増えます。所有者は施錠、郵便物、ごみ、火気を確認し、異常があった場合の連絡先を近隣や管理者と共有します。

放置期間が長いほど、修繕・売却・活用の選択肢が狭まりやすい

雨漏りや換気不足による劣化が進むと、修繕費や解体費の負担が増える可能性があります。使う予定が決まっていない場合でも、管理を続ける期限を設定し、売却・賃貸・解体の調査を始めることが重要です。

国土交通省の空き家対策特設サイトも、倒壊、外壁落下、害虫、景観、悪臭、不法侵入、枝のはみ出しなどを放置空き家のリスクとして案内しています。

【アンケート調査】近所の空き家の実態

解体データバンクは、20代から70代の男女263人を対象に、近所で管理されていないと感じる空き家の有無、気になる状態、生活への影響、望む対応、相談経験を調査しました。回答者は空き家の所有者とは限らないため、近隣住民から見た状況として紹介します。

距離、気になる状態、実害・不安、望む対応、相談状況は、有効回答263人のうち、近所に管理されていないと感じる空き家が「ある」「たぶんある」と回答した209人を母数に集計しています。

管理されていないと感じる空き家が近所に「ある/たぶんある」は79.5%

質問:自宅の近所に、管理されていないと感じる空き家はありますか?

「ある」が55.1%(145件)、「たぶんある」が24.3%(64件)で、合計79.5%(209件)でした。

自宅の近所に、管理されていないと感じる空き家はありますか?のアンケート結果
回答件数割合
ある145件55.1%
たぶんある64件24.3%
ない43件16.3%
わからない11件4.2%

多くの人が、管理されていないと感じる空き家を生活圏内で認識しており、空き家問題が身近な問題になっていることが分かります。

自宅から徒歩5分程度までに空き家がある人は71.8%

質問:その空き家は、自宅からどのくらい近い場所にありますか?

※有効回答263人のうち、近所に管理されていないと感じる空き家が「ある」「たぶんある」と回答した209人を対象に集計。

「ある」「たぶんある」と回答した209人のうち、「隣または向かい」「同じ通り・徒歩1〜2分程度」「徒歩5分程度」を合計すると、自宅から徒歩5分程度までに空き家がある人は71.8%(150件)でした。

その空き家は、自宅からどのくらい近い場所にありますか?のアンケート結果
回答件数割合
隣または向かいにある17件8.1%
同じ通り、または徒歩1〜2分程度の場所にある62件29.7%
徒歩5分程度の範囲にある71件34.0%
自宅からは少し離れているが、普段よく通る場所にある59件28.2%

7割以上が自宅から徒歩5分程度までの場所に空き家があると答えており、多くの人が身近な場所に空き家があると認識しています。

気になる状態は「草木が伸びている」70.3%が最多

質問:その空き家について、気になる状態をすべて選んでください。(※「近所に該当する空き家はない」「わからない」を選ぶ場合は、それのみを選んでください。)(複数選択可)

※有効回答263人のうち、近所に管理されていないと感じる空き家が「ある」「たぶんある」と回答した209人を対象に集計。

複数回答では「草木が伸びている」が70.3%(147件)で最も多く、「害虫が発生しそう、または発生している」が36.4%(76件)で続きました。

その空き家について、気になる状態をすべて選んでください。(※「近所に該当する空き家はない」「わからない」を選ぶ場合は、それのみを選んでください。)(複数選択可)のアンケート結果
回答件数割合
草木が伸びている147件70.3%
害虫が発生しそう、または発生している76件36.4%
野良猫・鳥・小動物などが出入りしていそう58件27.8%
建物が古く、倒壊しそうに見える70件33.5%
屋根・外壁・窓・扉などが壊れている60件28.7%
台風や強風で物が飛びそう51件24.4%
ゴミや不用品が放置されている39件18.7%
不審者が入りそうで怖い49件23.4%
火災や放火が心配61件29.2%
景観が悪い63件30.1%
悪臭が気になる4件1.9%
特に気になる状態はない8件3.8%

草木の伸びが最も多く選ばれていることから、近隣住民が最初に気づきやすいのは、倒壊などが起きた後ではなく、日常的な手入れが行き届いていない状態だと分かります。

空き家について実害・不安・気がかりを感じる人は合計77.0%

質問:その空き家によって、実際に困っていることや不安はありますか?

※有効回答263人のうち、近所に管理されていないと感じる空き家が「ある」「たぶんある」と回答した209人を対象に集計。

「ある」「たぶんある」と回答した209人のうち、「実際に迷惑や被害を感じている」6.2%(13件)、「不安や不快感がある」28.7%(60件)、「少し気になる程度」42.1%(88件)で、合計77.0%(161件)でした。

その空き家によって、実際に困っていることや不安はありますか?のアンケート結果
回答件数割合
実際に迷惑や被害を感じている13件6.2%
被害まではないが、不安や不快感がある60件28.7%
少し気になる程度88件42.1%
空き家はあるが、特に困っていない48件23.0%

実害に至っていない段階でも、不安・不快感や気がかりを感じる人が多く、空き家が周辺住民の心理的な負担にもなっていることが分かります。

近所の空き家に望む対応は「草木の手入れや清掃」が31.1%で最多

質問:近所の空き家について、どのような対応を望みますか?

※有効回答263人のうち、近所に管理されていないと感じる空き家が「ある」「たぶんある」と回答した209人を対象に集計。

「所有者に草木の手入れや清掃をしてほしい」が31.1%(65件)で最も多く、「売却や活用を進めてほしい」が17.2%(36件)で続きました。

近所の空き家について、どのような対応を望みますか?のアンケート結果
回答件数割合
所有者に草木の手入れや清掃をしてほしい65件31.1%
建物の修繕や管理をしてほしい14件6.7%
防犯対策や施錠をしてほしい8件3.8%
ゴミや不用品を撤去してほしい11件5.3%
危険な状態なら解体してほしい34件16.3%
売却や活用を進めてほしい36件17.2%
自治体から所有者へ指導してほしい19件9.1%
特に対応は望んでいない22件10.5%

危険な状態なら解体してほしいという回答より、まず草木の手入れや清掃を求める回答が多く、日常的な管理によって周辺への影響を抑えることが望まれています。

相談状況は「特に何もしていない」63.2%

質問:近所の空き家について、自治体や所有者などに相談・連絡したことはありますか?

※有効回答263人のうち、近所に管理されていないと感じる空き家が「ある」「たぶんある」と回答した209人を対象に集計。

「ある」「たぶんある」と回答した209人のうち、「特に何もしていない」が63.2%(132件)でした。自治体、自治会・町内会、所有者・管理者へ実際に相談・連絡した人は合計6.7%(14件)で、「相談したいが、どこに言えばよいかわからない」は7.2%(15件)でした。

近所の空き家について、自治体や所有者などに相談・連絡したことはありますか?のアンケート結果
回答件数割合
自治体に相談・連絡したことがある7件3.3%
自治会・町内会に相談したことがある4件1.9%
所有者や管理者に直接連絡したことがある3件1.4%
近所の人や家族と話題にしたことはある14件6.7%
相談したいが、どこに言えばよいかわからない15件7.2%
相談するほどではない34件16.3%
特に何もしていない132件63.2%

近所の空き家を認識し、不安を感じる人が多い一方で、何もしていない人が6割を超え、実際に外部へ相談・連絡した人は6.7%にとどまりました。空き家の所在地を管轄する自治体の相談窓口を分かりやすく案内する必要があります。

近所の空き家が気になるときの相談先

相談先は、空き家の状態と緊急性で選びます。所有者がわからない場合や、継続的な管理不全が気になる場合は自治体、目前の火災・犯罪・道路上の危険は消防や警察などへ連絡します。

まず所在地の市区町村へ相談する

自治体には、空き家対策、住宅、建築、防災、環境などの担当窓口があります。建物の住所、外から確認できる状態、いつ頃から続いているか、道路や隣地への具体的な影響を伝えます。写真を撮る場合も、私有地へ入らず公道や自身の敷地から確認できる範囲にします。

緊急性が高い場合は状況に合った連絡先へ

火災や不審者など目前の危険は消防・警察へ、道路に部材が落ちている場合は道路管理者や警察へ連絡します。倒壊しそうな建物や落下物には近づかず、安全を優先してください。

所有者がわからないからといって、空き家の敷地へ無断で入り、草木や建物を処置することは避けてください。

空き家所有者が取るべき対策

所有者は、建物と敷地を点検するだけでなく、異常時の連絡体制と、空き家をいつまで維持するかを決める必要があります。

建物・施錠・火気を定期的に点検する

窓、扉、屋根、外壁、雨どい、雨漏り、施錠、郵便物、ごみを確認します。点検日と状態を写真で記録すると、劣化の進行や修繕時期を把握しやすくなります。

草木と害虫を管理し、道路・隣地への越境を防ぐ

枝、雑草、落ち葉、害虫は周辺へ影響しやすい項目です。季節ごとの管理頻度を決め、本人が通えない場合は剪定・清掃・巡回を依頼できる事業者を探します。

緊急連絡先と管理担当者を決める

所有者が遠方にいる場合は、近隣や管理会社が異常を発見したときの連絡先を共有します。鍵を誰が保管し、災害時に誰が現地確認するかも決めておきます。

管理を続ける期限と、その後の方針を決める

『将来使うかもしれない』だけでは管理が長期化します。半年後や1年後など見直し時期を決め、修繕、活用、賃貸、売却、解体の費用と実現可能性を比較します。

管理不全空家・特定空家になる前に行動する

空家法では、放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家を管理不全空家等として、市区町村が指導・勧告できる仕組みがあります。勧告を受けると住宅用地特例の対象外になる場合があります。

国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」で制度と最新のガイドラインを確認できます。

管理・活用・売却・解体の選び方

空き家の方針は、建物の安全性、利用予定、市場での需要、所有者が負担できる管理費を基に選びます。次の表で候補を絞り、各選択肢の費用と期限を具体化してください。

選択肢向いている状況
管理継続将来使う予定があり、安全を保つ管理体制がある
修繕・活用建物状態と需要を確認し、費用を回収できる見込みがある
建物付き売却現況でも買主の需要があり、解体前に手放したい
解体・更地危険性が高い、建物需要が乏しい、土地活用の予定がある

管理継続・修繕は、利用予定と管理体制が具体的な場合に選ぶ

誰が、どの頻度で、いくらかけて管理するかを決められる場合は、建物を残す選択肢があります。利用予定が曖昧なまま修繕費だけを支出しないよう、見直し期限を設定します。

売却は、建物付きと更地の査定を比較する

古い建物でも需要がある可能性があるため、解体前に現況査定を取ります。更地査定との差だけでなく、解体費用、売却期間、維持費を差し引いた想定手取りで比較します。

解体は、安全性と解体後の利用計画を確認して決める

危険性が高い、修繕しても使わない、建物付き需要が乏しい場合は解体を検討します。解体後に売る・使う・管理する計画と、税負担の変化も着工前に確認してください。

空き家問題は、被害が出てからでは対応の選択肢が狭くなります。所有者は定期管理と将来方針を早めに決め、近隣住民は危険な空き家へ近づかず自治体へ相談してください。

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